造付け家具の製作には、家具工場で家具大工が製作する「家具工事」と、現場で大工が製作する「大工工事」があります。同じ造付け家具を製作するのでも、作り方・扱う材料・精度・色・仕上がり・コスト・納期などが異なり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
基本的に建築の一部として作られる造付け家具は、置き家具とは異なり、気楽に取り替えられるものではありません。「家具工事」「大工工事」それぞれの特徴を理解した上で、ベストな方法を選択することが大切だといえるでしょう。
各種機械を完備した工場(家具工場・木工所)で作られる家具は精度が高く、パネルやパーツから作るため、芯材・表面材・仕上げ材・下地材などの種類も豊富です。
工場で製作したパーツや家具を現場に搬入して組立・設置します。現場に設置してみたところで出る数ミリの誤差は、台輪や支輪で調整します。そのため、家具工場で製作される造付け家具は、設置スペースよりも少し小さく作られているのです。設置時に収まりを調整するのと一緒に、使用上の問題や見た目の美しさも整えていきます。
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比較的ローコストに抑えやすいのが、大工工事による造付け家具の製作です。
現場で直接製作するため、壁や天井・床などにぴったり合わせたサイズで作れます。ただし、製品化されたパネルをカットして使用するという点、現場で製作するため使える機械が限られるという点から、引き出しなど作りが複雑なものには不向きです。精度に関しても家具工事に比べると劣ります。
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家具工事 |
大工工事 |
|
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製作場所 | 家具工場で製作 | 現場で製作 |
製作する人 | 家具大工 | 大工 |
メリット | 【精度が高い】 各種機械を使用して作ることができるため、寸法や角度、仕上がりなどの精度が高い。 【塗装の仕上がりが均一】 環境の整った工場での作業なので、「吹付け」での塗装が可能。仕上がりが均一になる。 【製品加工の品質が高い】 現場では難しい加工の必要な家具や、構造が複雑な家具も高品質で作れる。 【工期の短縮が図れる】 工場で製作することで、現場の工程による影響を受けずに作れるため、工期の短縮が図れる。 |
【比較的ローコスト】 材料費・金物費・製作手間は家具工事とほぼ同じだが、大工工事の場合、家具の製作も造作工事の一つとして作業できることが多い。そのため、製作手間が作業費の一部に組み込まれ、比較的ローコストに抑えられる。 【「逃げ」のない収まりが可能】 現場に合わせて製作するため、誤差を調整する台輪や支輪を必要とせず、ピッタリ収めることができる。 【他部分との色調整がしっかりできる】 現場で塗装するため、製作した家具以外の塗装部分との色調をしっかりと合わせられる。 |
デメリット | 【比較的コストがかかる】 配送費や搬入据付け費など、現場で作る大工工事にはない費用が発生するため、比較的コストがかかる。 【他部分との色調整がしにくい】 現場とは別の場所で製作しているため、製作した家具以外の塗装部分と、色の兼ね合いなどにズレが生じる可能性がある。 |
【精度が低い(大工の技量に左右される)】 機械や環境が整っていない現場で製作するため、家具工事に比べ精度は低くなる。さらに、大工個人の技量に大きく左右される。 【塗装の仕上がりに均一感が少ない】 十分な換気設備がなく、ホコリの舞いやすい現場での塗装は「刷毛塗り」になるため、均一感が少ない仕上がりになる。 【複雑な加工は不向き】 機械や環境が整っていないため、複雑な加工が必要な製品の製作は不向きといえる。 |